multiple
「好き」の不条理によって女子高校生が変人と交際するオンライン小説です。
第17話 夢を見なかった。
お手紙、届きました。
電子データのやりとり、打鍵したもの、さっとすぐに送れるもの、あまりにもコストが掛からないためにそれはあまりにも軽く心のない手段とされました。
コストが掛かることはそんなにも愛があるのでしょうか。
送るのにためらい日々推敲を重ねたそれより、五分で書いた殴り書きの方が良いのでしょうか。
人間らしい温かみがあるのでしょうか。
重たいのでしょうか。
ゴミ箱に捨てたとき、ゴミ箱の底に実物が残っているから尊いのでしょうか。
少なくとも、お手紙は、届きました。
だるいな
だるいとかいうな
テンション下がるし
でもだるくない?
だるい
だるいわ
だるいわ
だる・・・予測変換で打ってない?
だるいわ
ソイソース
そんなことないよ
なんで予測変換の最初にソイソースが出るの?
末端から全身が冷えゆく感覚に、ふらふらとしながら教室を出る。喧騒を扉で区切って、よたよたとおぼつかない足取りで静かな廊下を歩いてゆく。
original_multipleさん
今って幸せなんでしょうか。全体的に見て、今って幸せなんでしょうか。
一つのものに各社のカタログを集めることのできる時代は、幸せですか?
ベストアンサーに選ばれた回答
edno_7300000000さん
さあ、幸せな人はいつの時代も幸せなんじゃないですか?
その他の回答
edno_7299999999さん
自分で調べてください
edno_7299999998さん
すでに同じ質問があります。そちらを参考にしてください。
edno_7299999997さん
これ私もすごく気になっています。幸せなんでしょうかね???
edno_7299999996さん
カテゴリを変えたほうが良い回答を得られるでしょう
edno_7299999995さん
そんなことを知っていったい何になるんですか。時代を言い訳にしないで真面目に生きなさい。みっともないですよ
edno_7299999994さん
私は幸せです今日は一段と寒い日だと思って重ね着をした。だれかが「そろそろ春だね」と言っていた。
萩原朔太郎『老年と人生』
老いて生きるということは醜いことだ。自分は少年の時、二十七、八歳まで生きていて、三十歳になったら死のうと思った。だがいよいよ三十歳になったら、せめて四十歳までは生きたいと思った。それが既に四十歳を過ぎた今となっても、いまだ死なずにいる自分を見ると、我ながら浅ましい思いがすると、堀口大学ほりぐちだいがく君がその随筆集『季節と詩心』の中で書いているが、僕も全く同じことを考えながら、今日の日まで生き延びて来た。
悴む日々にもうすぐさよなら?
・・・
今日ご紹介したのは萩原朔太郎の『老年と人生』の冒頭です。老いることが恐ろしいというのは美に神経質な芸術家ならではのありきたりな感傷といえますが、特異の皮膚を剥がして売り物にしている芸術家ですら吐露にさしたる違いがないとすると、僕たちのような凡人に至ってはもはや何についても語るに値しないのではないでしょうか。
・・・
なーんてね! 今度の週末は晴れるみたいです。授業中、ずっと何をしようかと考えていました。天気予報があるおかげで、一日だけでなく二日、三日と楽しめるというわけ! 晴れた休日があれば何者でも人生は幸せです! そんなこんなで休日まで頑張っていきましょー!
生あくびが止まらないことに気づいたときには、もう遅かった。
本当の自分を出したら嫌われる。だから素は出さないようにしている。表面的な会話しかできない。演じている自分を好かれても嬉しくない。心の底から信頼できる人がいない。寂しい。孤独だ。 88
ひどいことをゆう奴は自分が精神的に弱っているのを他人に八つ当たりしているだけなんだって見下せばいいんだよ! 53
周りの人みんなつまらないし大した趣味とかなくて何が楽しくて生きてるのって感じ。。。 41
自分の好きなものを好きな人がいないので寂しい。 23
だれでも言えることは言わないようにしている 21
なやんでる 5
死にたい 4
つらい 3
地震 2
あ 1
気持ち悪い。
何が言いたいの。何がしたいの。何が残るの。
いったいどうやったら見分けがつくというの。
エディションのない
エディションのない
エディションのない
「あなたは誰!?」
「あ。友原冬夜です」
急いで顔を上げる。
廊下の窓から柔らかく差す光を遮るように、ひょろっとした男子生徒が少し膝を屈めてこちらを覗き込んでいる。
「貧血? ここでへたり込んでいても、寒そうだし。保健室、行く?」
鼻腔に強烈な刺激をうけてシャキッと覚醒する。しゃき、しゃき、新鮮な白菜……はくさい……。
「歯が臭い」
「口じゃなくて歯!? てか突然の罵倒!?」
ふらりと立ち上がって、床につけていたスカートをばんばんと叩く。ぱらぱらと埃が落ちたのを確認したのち、瞬きを繰り返してあんぐりと口を開けている友原くんに一礼した。
「ありがとう。あなたのそのにお……声かけ事案によって、目覚めてしまった気がする」
「臭いっていいかけたし、事案にされたし、イケナイ門を叩いてしまった感じだし!」
「ツッコミの仕方が寒いね」
「善意で声をかけたのにこの言われよう! もう親切なんてせんどこっ!」
まあまあ、と窘めて軽く天気の話をして、その場を立ち去る——口が臭いけど悪い人じゃなかった。有紗も仲良くしてみればいいのに。無理か。口を開いたら、臭いんだから——いつの間にか進む足がわずかに急いで弾んでいることに気づく。だれもいない廊下を小刻みにぱたんぱたんと上履きで打ち鳴らす。しかしどうしてだれもいないんだろうな、と自教室を覗き込む。扉についた窓からハゲの光沢が見え、目と目が合い、扉ががらごろと気だるそうに開けられる。
「サボって何してんだ、おまえ」
友原くんやっぱり悪い人だった。
ぴかっと輝くハゲの背後からクラスメイト達が見える。有紗とナミちゃんがぶんぶんと手を振って視界がうるさい中、後藤くんがうとうとしていて、田代くんが踏ん反り返って寝り、神園さんは苦笑いをして、東間くんは頬杖つき、小畑くんと目があう。たくさんの人生が私を見つめている。大した重さではない。きっとこの瞬間も、何事もない日常の一つとして収められる。
歴史には残らない。
「反逆?」
「アホか」
それでも、私が覚えていればそれでいい、と。
眩暈はすでに通り過ぎていた。