コモン趣味

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小説家になろう

冒頭

 しんしんと冷え込む夜から朝に掛けて、ページに換算して一万ページほどの新しい趣味が積もった。もちろんそれは人々の処理能力に追いつかない数で、不必要なものと必要なものを自動的に分けることも限界に近づいていた。結局のところ、何が大切で何が大切でないかは個人の経歴によるもので、共通のロジックを持った機械にその分別が理解できるわけがなかった。そうはいっても無作為に抽出するといった方法は好ましくない。趣味に限りがなくとも人間の命には限りがある。粗雑なものを慈しむのは、人生の最適化に相応しくなかった。何よりも素晴らしく、時間に対する効果の大きいものだけを摂取しなければならない。現代ではどれだけ効率的に何かを得ることができたのか、それが人間の指標になる。僕はそういう仕事をしていた。そういう仕事というのは、つまるところ、価値のあるものを人々に供給する仕事だ。

情報

  • 2017年03月12日
  • 2870文字