つるつるする毛皮

毛皮であたたまりたい少年少女の無料掌編小説です。

 だれにだってうさぎの背をなでる権利がある。たとえば外出するお姉ちゃんの首のまわりに、いつもうさぎがのっている。あたたかなうさぎ、灰と青のまざったうさぎ、目も鼻もしっぽもないうさぎが、姉を見送るぼくを... gumroad

1と2と31のパララックス

男子中学生が1日違いの誕生日で後輩になった幼馴染をいじめる短編小説です(テーマアンソロジー『夢見月夜の誕生日会』に寄稿)。

 早うまれってなんだ。どう考えたって遅いじゃないか。走る速さも九九を覚えるスピードも身長の伸びも何一つ先行しない。  しかも箕島の野郎は、とびぬけて速い。見よ、この弾丸。一年にしてエース、一日にして... 夢見月夜の誕生日会

最低

女の子が最低なフラれかたをするポストカード小説です(300字企画参加作品)。

 ちょうどいい風よけだな。おにいさんはこちらをちらっと振りかえって「背ぇ、伸びんかったなおまえ」とやり返す。へこんだ足跡にすっぽりと入るわたしの黒い靴。... 300字企画

花は死んでいるのか?

知的探究心のつよい人間によわい人間のオンライン小説です。

 花にしたいなあ。遠見志真は黒板の前で友達と親しく話す彼女をあごでさした。「どう思う?」からあげの肉汁なのか俺のよだれなのかわからない。「どうも思わんが、花にするって?」ずるずると志真はうどんを食う。... Text-Revolutions 第8回アンソロジー「花」

仮定法過去完了

女子大生がついさっきまで中学生だった幼馴染と思い出話をするオンライン小説です。

 タイムマシンの乗り方を知っているかいなんて言われて、そんなものはないよと答えたら、ないものは乗れないのかと聞かれて、そんなこと知らないよと返したが、ついさっきまでワタシは中学生だったのだと彼女は胸を... 小説家になろう

マグロ義務

オートロックの暗証番号を忘れた男が小学生とお話しするオンライン小説です。

 献辞に目も止めなくなり、それすらも物語に組み込むようになったとき、私は大人になったのだと思った。「けんじって何?」あなたへ、あるいは、あなたに捧ぐ。丸まっていた彼の背がごろんと揺れて踏み込み板にぶつ... 小説家になろう

シナントロープ

男子中学生が先輩の自傷の一環として交際するオンライン小説です。

 リストカット先輩はよく中庭に出没し、草むしりをしている。親指と人差し指で雑草の先端をつまんで、ぶちっと切っている。中途半端に残されてぬるい風にゆられる草を、リストカット先輩は容赦しない。ぶちっ、ぶち... 小説家になろう

天使定額あくまサービス

男が定額サービスに負けるオンライン小説です。

 天使のささめきを聞いたことがある。正確にはそれはささめきではなく鼻歌だった。さらに詳しくいえば、だぼだぼのパーカーのポケットに手をつっこんでだらだらと歩いている茶髪の女の鼻歌だった。すれちがったのは... 小説家になろう

クラスメイトが痴漢している女装男

クラスメイトが痴漢している女装男が女かもしれないオンライン小説です。

 クラスメイトが痴漢している女装男を前に考える。彼は気づいているだろうか。電車が揺れてつり革を持った女装男が座席側に身を倒してくる。すでに見慣れた見知らぬ顔は、見知った制服を着慣れていた。スカート、あ... 小説家になろう

ブランコネーム

少年が自分の名前を変えないオンライン小説です。

 はじまりはやさしさだった。でも「いやになったら逃げてもよし」という説明書きで広まった、まかふしぎなそれにみなが飛びついて、しばらくして状況が変わってきたんだ。... 小説家になろう

グリーンネイル

2人の女の子が互いの爪を緑に塗りあうオンライン小説です。

 私たちは白や黒には程遠い、緑のきずなで結ばれている。赤でもなければ青でもないその色は、お互いにゆるしあうことをゆびきりする私たちの爪に宿っている。人間の体にはあまりにも不似合いな、芝の緑より濃い緑は... 小説家になろう

ナローノベル

まったく心を動かさないオンライン小説のオンライン小説です。

 検索エンジンにミニブログのアカウント名を叩き込む。表示された結果の一番上にあるリンクをクリックする。見慣れたミニブログの最新の投稿を確認する。もうしばらく更新されていない。そしてだれも見ていないだろ... 小説家になろう

だんだんこ

男子小学生がマンションの階段でお兄さんに殴られるオンライン小説です。

 ぼくはいつからおにいさんとなぐりあっていたんだろう。きっと最初はおそろしいことだと思っていたに違いなかった。心臓をばくばくと鳴らして走って帰って布団をかぶってがたがたと歯をならしていただろう。夕食の... 小説家になろう

コモン趣味

人々に趣味を提供するオンライン小説です。

 しんしんと冷え込む夜から朝に掛けて、ページに換算して一万ページほどの新しい趣味が積もった。もちろんそれは人々の処理能力に追いつかない数で、不必要なものと必要なものを自動的に分けることも限界に近づいて... 小説家になろう

かさねぐらし

他人の部屋が重なって見える女が男と出会うオンライン小説です。

 天井の室内灯と徒然草の一冊を並べて私はぼんやりと考えた。  ――鏡に色や形があれば、姿は映らなかったであろう。  古語を理解するための重要なポイントも含むその一文の先には、こうある。主人のいない... アットホームアワード

きえないあのあと

あのあと、青年の足跡が消えなくなったオンライン小説です。

 足跡が自然に消えてなくなるということはありえない話です。覚えていますか。君はぼふぼふと音を立ててまっさらな雪を潰してゆきました。なんの躊躇もなく、です。捨て置かれた事実は君を糾弾できる時が来るまでじ... 小説家になろう